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第8回 蜂蜜エッセイ応募作品

おじいさんの蜂蜜

眠り猫

 

 「おいで おいで」知らないおじいさんが草むらの中でにっこり笑って手招きをしていました。
 これは私が小学生だった時に友達とランドセルを背負って帰る途中での出来事です。
 私は親から「知らない人についていってはだめだよ」と常日頃から言われていたので知らん顔をして行こうとすると友達に「行ってみよう」と手を引っ張られ行ってみました。すると 草むらの中に小さな家があり 外には木の箱がいくつも並んでいました。
 「おじいちゃんこれなあに?」友達が聞くと
 これは蜜蜂の巣箱と教えてくれて蜂の話し動物の話しをしてくれました。
 そこには犬やうさぎまた亀や鳩がいて私達は何か違う世界に来たようで嬉しくなりワイワイ遊んでいると 蜂の蜜を持ってきて「食べてみろ」と言われました。
 食べたことが無かった私達は恐る恐る食べました。甘くて甘くて あまりの甘さにびっくりしたのを覚えています。
 私と友達は2人だけの秘密の場所が出来たみたいで 心がウキウキして
 「お母さんには内緒ね誰にも内緒ね今日も蜂のおじいちゃんの所に行こうね」と毎日学校帰りに蜂のおじいさんの家に行き 蜂の話しや亀の話しを聞きながら蜂蜜をなめさせてもらいました。
 私達2人は口の回りをペロペロさせながら手を繋いでおじいさんの家から帰るのが日課になりました。
 しかし いつの日かおじいさんは居なくなっていました。蜜蜂の箱も動物達も無くなっていました。子供心に何処に行ってしまったのか悲しくなり秘密の場所が無くなった事がとても寂しくなりました。誰にも言えなかったがあの場所でおじいさんの甘い蜂蜜をなめながら おじいさんの話しを聞き動物達と遊んだ日々がありました。
 蜂蜜を買うとふっと思い出します。おじいさんはどうしたのだろう?
 あの蜂蜜はどうなったのかしら?
 決して夢ではなかったが今の時代では考えられない不思議な不思議な私の大切な思い出です。

 

(完)

 

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